「星の王子さま」みっけ!

               Le Petit Prince          小さな王子さま
 

☆「星の王子さま」みっけ!

みなさんは「星の王子さま」の童話を読んだことがありますか。

渡り鳥に乗ってやってきた星の王子さまと、砂漠に落っこちた飛行士の童話です。

この「星の王子さま」みっけ!の部屋では、王子さまの目から見た大人のおかしな世界と、「ものそのもの」「ことそのこと」の世界を一緒に考えたいと 思っています。

そして、童話の核心、とっておきの「秘密」、「砂漠の秘密」、「村の井戸」のありかをご紹介します。

実は、星の王子さまが飲んだ「井戸の場所」は、みなさんがとっくの昔に忘れてしまった、子供の頃の思い出の中にあったのです。

その水は命の水。

心地よい「井戸」の歌声を聞きながら、ゴクゴクゴクとのどを鳴らし、心の渇きも一緒に癒してください。

文と絵はサン=テグジュペリの「星の王子さま」(内藤 濯 訳)からお借りしました。

◆プロローグ



「星の王子さま」は大人の童話です。

物語は易しい言葉で語られていますが、内容はとても深く、一読では到底理解することはできません。

この本は、かって子供であった大人のために書かれた童話です。

この童話を書いたサン=テグジュペリは、1900年、南フランスはリヨンの貴族の家に生まれ、作家であり、また飛行機の操縦士でもありました。

彼は郵便会社の飛行機の操縦をしながら、何度も事故に遭い、死にそうになりました。

今とちがって、まだ飛行機の性能が悪く、安全性が低い時代でした。

彼は、第二次世界大戦中は偵察大隊飛行隊に所属し、その後除隊となったのですが、再度志願して、元の33−2偵察飛行大隊に復帰しました。

年齢制限の30歳をはるかに越えていたそうです。

そして、第二次大戦中の1944年7月31日、偵察のためにコルシカ島のボルボ基地から飛び立ったまま、行方不明となり、帰らぬ人となってしまいました。

彼は、友と、妻と、国を愛した人でした。…






戦争は恐いですね。戦争は悲しいですね。…
でも、その悲惨な時代の中から、名作「星の王子さま」が生まれたのです。



サン=テグジュペリは作家であり、また飛行士でもありました。

作品はあまり多くなく、「南方郵便機」「夜間飛行」「人間の大地」「戦う操縦士」「ある人質への手紙」「星の王子さま」「城塞」などがあります。

彼が飛行士であったためか、作品の内容は飛行機にまつわる内容が多く、通常の人には得られない、現場にいる人の「視点」により、作品も人生観も貫かれています。

彼は飛行機から地上を見下ろしたとき、目の前に広がる世界の美しさとは対照的に、その地上にくり広げられる、人間の怒りや憎しみ、戦争や暴力の愚かさが見えてきました。

また同時に、夜は高度数千メートルの高さから、人々の営みの明かりをみつめつつ、様々な人が一生懸命に生きている姿と、その人達が求めている大切なものが見え、人々への愛おしさの想いが、沸々とこみあげてきたに相違ありません。


もし、あの世があり、死んで地上に別れを告げ、あなた自身が無数に輝く星の一つになるときは,きっとそんな気持ちになるのでしょうね。



この「星の王子さま」の童話のキーワードは「Comprenons la vie.」(生を理解する)ですが、訳者の内藤濯さんは「生」とか「人生」と訳すと分からないと思い、子どもが理解できる「ものそのもの、ことそのことを大切にする」という言葉に意訳したのです。

「ものそのもの」とは目に見える一切のもの、「ことそのこと」とは目に見えない一切のことであり、それを「大切にする」こととは理解することであり、同時に愛することであります。

この愛は、男女の間の惚れた、腫れたの愛ではありません。

古代ギリシアの「哲学」(フィロソフィア)の「知を愛する」ということであり、「知る事」すなわち、「愛すること」に他なりません。

自分が生きていたという証拠は、「愛したかどうか」ということだ、
と彼はいっているようです。自分がこの世に生きていたという証拠は、戸籍に載っていたとか写真に写っていたというようなことではありません。


本当に大切なものは目に見えない。
人間にとって、本当に大切なものは「愛」だといっています。
それは肉体生命より大切なものであり、本当の自分は愛であり、
肉体の命ではないと云っています。

「愛するとは、のどが渇いていても、自分より先に、相手に冷たいおいしい水を差し出して飲ませてやることだ」といっています。

「愛する」とは、自らのことより先に「相手を思いやること」「相手の幸せを願うこと」であります。
「愛する」とは相手によかれと思い「行為する」ことです。
そして、その愛の究極なる形は、根源なる行為は、自らを空しくして相手の幸せを願うこと、相手に知られずして相手の幸せを願うこと、すなわち、「祈り」ではないでしょうか。

「秘すれば花」と誰かが言ってたように、「愛」を理解するには「愛」の言葉を直接使わず、間接的に散文詩風に表した方が「愛」の美しさがわかります。

ボードレエルによれば、散文詩とは、一定の韻律法則を無視し、自由の散文形式で書きながら、しかも全體に音樂的節奏が高く、且つ藝術美の香氣が高い文章を言ふことになりますが、「星の王子さま」の童話は、まさしく「愛」を語るにはピッタリな文体ですね。

人生における「大切なもの」は、直接近くではよく見えません。
間接的に遠くから見た方がわかりやすいのでしょう。
遠いというより、高いといったほうが良いみたいですね。

サン=テグジュペリのように数千メートルの高さから地上を見ることのできる人もいれば、私のように地上すれすれに飛んで墜落しそうになり、大事なものを探すよゆうがない人も、中にはいるようですね。

サン=テグジュペリの飛行機に乗せてもらって、はるか上空から見た方が、少年の頃に落とした大事な宝物のビー玉が、光って発見できるかもしれません。




では、サン=テグジュペリといっしょに、大空へ。




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